誘導電動機のスリップリングと二次抵抗とは

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良く見かける誘導電動機スリップリングと二次抵抗の回路図
これも良く見かける回路図。

三相巻線型誘導電動機

固定子:ステータとも呼ばれ、交流電圧から回転磁界を発生させる一次回路

回転子:ローターとも呼ばれ、固定子内側に配置されて固定子で発生した回転磁界によって回転が可能となる二次回路

この回転子が二次抵抗器に接続されている。回転子と二次抵抗器との接続をそのままケーブル等で配線してしまうと、電動機軸が回転するので当然ケーブルは断線してしまう。

その為、回転子と二次抵抗器間にスリップリングとブラシを介して軸が回転できるようになっている。ただし、スリップリングとブラシ間で摩擦が起きているので機械的に摩耗してしまい、断線や短絡の可能性があるので注意が必要。

あくまで巻線形誘導電動機。

比例推移

電験の勉強をしていると必ずといっていい程この単語が出現する。現に機械科目で良く出題されている。

先に述べたように巻線形誘導電動機の二次回路がスリップリングになっており、そこから外部抵抗器に接続されている。この外部抵抗器を可変させて二次抵抗が変化するのだが、二次抵抗rと滑りsを何倍にしてもトルクTは変化しない。このことを比例推移と呼ぶ。これ絶対テスト出る。

ちなみに一次側の電流もトルクと共に比例推移する。

なぜ二次抵抗器を接続するのか

回転子二次回路に二次抵抗(外部抵抗)を接続させると実際には回転子巻線抵抗があるので回転子巻線抵抗+外部抵抗=二次抵抗となる。

誘導電動機の特徴として、二次抵抗が変化してもトルクが変わらない。(比例推移)良く電験に出る。

回転子に流れる電流がスリップリングとブラシを介して二次抵抗に流れ、その電流を二次抵抗の可変によって変化させている。この電流の大きさが回転磁界と回転子誘導電流の作用を変化させて速度が変化する。(速度制御)

二次抵抗を接続しないと電動機起動時に始動電流が定格電流よりも3~6倍もの電流が流れてしまう。(全電圧始動方式

始動電流を抑える為に電動機始動時には二次抵抗の値を大きくし、ステップで二次抵抗を可変させて最終的に二次抵抗を短絡させて定格までもっていく。

最近ではインバータ制御が主流になってきたが、僕の会社の産業機器には現在でも使用されており、負荷の変動が激しい為インバーターが故障する事から二次抵抗制御が採用されていると思われる。

スリップリングとブラシ部分。この電動機3kV級のもの。
起動盤裏側。二次抵抗器の塊。時間と共に自動(電動カム)で抵抗器を入れ替えて始動電流を抑えている。

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