誘導電動機の同期速度と回転子回転速度とは

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誘導電動機の回転速度と回転子回転速度

固定子:ステータとも呼ばれ、交流電圧から回転磁界を発生させる一次回路。

回転子:ローターとも呼ばれ、固定子内側に配置されて固定子で発生した回転磁界によって回転が可能となる二次回路。

固定子

三相誘導電動機は固定子(一次コイル)に電流が流れて励磁電流によって磁界が発生する。固定子に流れる電流は三相なので120度ずつずれた位相が流れて磁界が回転する。(回転磁界)

固定子にこの回転磁界が発生する。回転磁界は時間と共に連続的に変化する。

この回転磁界は一定の速度で回転するが、この速度を同期速度(Ns)と呼ぶ。

同期速度Ns=(120×f)/p min-1(一分あたり)

f:電源周波数 p:極数

例えば50Hz、4極の誘導電動機の場合は1分間の同期速度は1500回転となる。

回転子

固定子は言葉の通り固定されており可動しないが、回転子はこれも言葉の通り回転する。

誘導電動機の場合、固定子は外側に配置されて回転子はその内側に配置される。

固定子で発生した回転磁界が、回転子に誘導起電力を発生させて電流が流れ、駆動トルクが発生する。フレミングの左手。

これにより回転子が回転するが、固定子が発生させた回転磁界の速度(同期速度)より少し遅れて回転をする。これは、電磁力によって磁石を追いかけるようになる為。

回転子の回転速度をNと表現する。

すべり

回転磁界(同期速度)より遅れて回転子が回るが、同期速度Ns-回転速度Nが実際のすべり速度で同期速度Nsの比をすべりsと呼ぶ。

s=(Ns-N)/Ns 

実際に言葉で覚えるより絵で書くようにするとイメージがつきやすい。

上側の矢印が固定子一次コイルで同期速度と電源周波数となる。
下側の赤線矢印が回転子回転ですべり分の速度と周波数が引かれる。
黄色矢印はすべりですべりと電源周波数を掛けた数字がすべり周波数となる。

すべり1は電動機が停止している状態、すなわち変圧器と同じ状態となる。

無負荷で電動機が運転されている時は、すべりは0に近くなるが決して0にはならない。誘導機の回転速度は決して同期速度と同じ速度にならない為、すべりは0より大きく1より小さい事が分かる。

ちなみにすべりsで回転している回転子が、固定子が発生する回転磁界を切るスピードはNs-Nとなる。その為、二次誘導起電力は電源電圧のs倍となる。E2=E1×s

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